佐々木合気道研究所 所長筆記

佐々木合気道研究所は合気道の研究成果の発表と著書の紹介を行っている個人の団体です(https://sasaki-aiki.com)。

「正倉院展」を見た Saw the Shoshoin Exhibition

2019.10.29

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上野にある東京国立博物館の「正倉院展」に行った。平日で雨が降っているので空いているだろうと思ったが入館まで30分もかかるという混雑だった。

しかし、それは十分報いられた。

一度、正倉院御物を見たいと思っていたがそれが叶えられた。1260年以上にわたり守り伝えられてきた9000点の内の46点が展示されたが、選りすぐりの宝物であり、前から見たいと思っていたモノが多くあった。また、今回は、「正倉院宝物」より一時代古い「法隆寺献納宝物」(東博所蔵)16点があわせて展示された。例えば、大きな口縁部を持つガラス製の「瑠璃壺」、細やかな透かし彫りで獅子などを表した球形の香炉「銀薫炉」、供養の芳香をたいた真ちゅう製の仏具の国宝「鵲尾形柄香炉」等である。

正倉院宝物」46点は6章に分けられて展示された。各章のテーマと私が注目した宝物は次の通りである。

  <一章> 

聖武天皇光明皇后ゆかりの宝物:平螺鈿八角鏡、海磯鏡

<二章>

華麗なる染織美術:墨画仏像

<三章>

名香の世界:「蘭奢待(らんじゃたい)」の名で知られる天下の名香。足利義  政や織田信長らがこの香木を得たいと熱望し、一部を切り取った出来事は有名。近代になっても明治天皇行幸した折に切り取られた。

 <四章>

正倉院の琵琶:螺鈿紫檀五絃琵琶 (写真)

<五章>

工芸美の共演:伎楽面 酔胡王、聖武天皇御愛用の異国趣味な水差し「漆胡瓶」

<六章>

宝物をまもる:塵芥」のひと固まりと、分別された「塵芥」

 

正倉院宝物」は、もとの形状が残っているものばかりではない。1260年以上の月日の流れのなかで、残欠、断爛、塵芥、塵粉となってしまったものもある。これらも「正倉院宝物」として大切に保管されている。

特に興味深かった宝物は、「東大寺献物帳国家珍宝帳)」(奈良時代・天宝勝宝8歳756年)であった。 聖武天皇の御遺愛品を中心とする宝物が東大寺大仏に献納されたときの目録で、全長15メートル弱。改ざん防止のため全面に隙間なく「天皇御璽」の印が捺されている。整った文字と保存状態の良さがすばらしい。

 

正倉院宝物」が1260年以上も守り伝えられたことに感激したし、それを保存修復する方々のご苦労に感謝し、後2000年、3000年と残して欲しいと願っている。

Saw the Shoshoin Exhibition

I went to the Shosoin Exhibition at the Tokyo National Museum in Ueno. It was raining on weekdays, so I thought it would be not crowded, but it was crowded with 30 minutes to enter. But it was well rewarded.

I once wanted to see the Shoshoin gift, but that was realized. 46 of the 9,000 items that have been preserved and transmitted for over 1260 years were exhibited, but it was a treasure of choice, and there were many things that I wanted to see from before