佐々木合気道研究所 所長筆記

佐々木合気道研究所は合気道の研究成果の発表と著書の紹介を行っている個人の団体です(https://sasaki-aiki.com)。

篠田桃紅展に行く Visited the Toko Shinoda exhibition

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2021.4.19

篠田桃紅展を見に横浜そごう美術館に行って来た。篠田桃紅は今年の3月に107歳で亡くなられた美術家で、最晩年まで活躍されて素晴らしい作品を描かれておられた。彼女のことはNHKテレビで知り、そこで紹介された作品の素晴らしさだけでなく、100歳以上でも現役で活躍されていた事、その彼女の発する言葉や考えに興味をもち、インターネットで調べたり、本を買った。特に興味を持ったことは、「歳を取って、だんだんと腕力で引く線の力は薄らいで、線に込める心の部分がでてきている。」という彼女の言葉であった。

篠田桃紅展が開催されているということを知ったので、その彼女の言葉を作品で見てみたいと思い行ったのである。

作品の展示は、第一章 文字をこえて(渡米以前)-1955、第二章 1956-60、第三章 1970-80、第四章 1990年代以降と年代順に展示してあったので、若い頃の作品と晩年の作品を比較するのは容易であった。

確かに若い頃の彼女の作品は力強く、線も濃く輪郭もしっかりと描かれている。そして晩年の第四章にある作品は確かに、線は薄く、一見するとぼやけた輪郭の線であるが、よく観ると線は気で満ち、鋭い刃物のようである。これが彼女が言う、「引く線の力は薄らいで、線に込める心の部分が出てきている」ということだと確認できた。(写真は2012年の作品)

今回は、年を取ったら腕力が弱くなる分、心でやればいいということが確認できた事と、彼女のその心で描いた線が観えたことが嬉しかった。彼女の心の線は、合気道で云う気に満ちた線ということになり、その気を感じたという事になる。気を感じたということは、己自身も気を発していたことになり、その双方の気が合したということになるわけである。その為に、今回は作品の前で気を出すようにしていた。十字の息づかいから気を創出したのである。布斗麻邇御霊の伊予の二名島の気である。

 

Visited the Toko Shinoda exhibition

I went to the Yokohama Sogo Museum of Art to see the Toko Shinoda exhibition.Toko Shinoda is an artist who died in March of this year at the age of 107, and was active until her last years, drawing her wonderful works.

I got to know her on NHK TV, and I was interested not only in the wonderfulness of the work introduced there, but also in the fact that she was active even over 100 years old, and the words and thoughts she uttered.

What I was particularly interested in was her words, "As I get older, the power of the lines I draw with my strength is getting weaker, and the part of my heart that I can put into the lines is coming out."

Knowing that the Toko Shinoda exhibition was being held, I wanted to see her words in her work.