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佐野美術館(静岡県三島市)(写真)で創立40周記念特別展である「虎徹と清麻呂」日本刀展を見にいってきた。重要文化財や重要美術品を含む日本刀70点をじっくり見せてもらった。近藤勇が使った「虎徹」の刀工は長曾祢虎徹(ながそねこてつ)であり、江戸時代初期の人で、甲冑師から刀工に転じて、74歳まで刀を打っていた。虎徹とは対照的に、源清麻呂は江戸末期の人で、若い頃から天才的な技量を発揮し、四谷正宗と呼ばれるほどの名工となったが、若くしてその命を絶った。
どれも素晴らしい一品であったが、中でもひと際目立つ数点がある。説明を見ると「重要文化財」とか「重要美術品」と書かれている。どこがどう違うのか考えてみると、においや形も重要だろうが、いわゆる「魄力」の差(放出されるエネルギーの差)ということのように思えた。
両刀工とも、晩年になればなるほど完成度が高まると同時に、自由に作れるようになったようだ。さらに、当時の60歳や70歳になってからでもこのような刀を打ったのかと思うと、人間の可能性に大変感動させられた。