佐々木合気道研究所 所長筆記

佐々木合気道研究所は合気道の研究成果の発表と著書の紹介を行っている個人の団体です(https://sasaki-aiki.com)。

今年二度目の能 Noh-Spiel noch mal

sasaki-aiki2007-02-18

昨年に引き続き、矢来能楽堂で若手の能公演を観にいった。一行は、女房と彼女の仕事関係および中国武術関係の友人たち五人である。演目は「海女(あま)」で、女房の実家の近くにある讃州志度寺の縁起譚と、海女の珠取り伝説を基とし、わが子のために殉じた母の強い母性愛を主題としたものである。
今回は、能の素晴らしさの一つが見えたように思えた。合気道では顕・幽・神界があると創始者である植芝盛平翁がいっているが、能はその中の幽界を演じるものではないだろうか。幽界は顕界と神界の間にある世界で、合気道でいう「天の浮橋」の世界である。能の独特の足の運びはそれを象徴している。従って、演者は決して踏ん張ったり、力んだりすることはない。そんなことをしたら顕界(地上)に転落してしまう。もう一つ見えたことは、両手は横にたらさず、前に張って出しているが、これは体の表である背中側からのエネルギーを発散させて、力強さや安定感を出しているように思われる。
能は幽界を表現するものであるから、現実の顕界の目で見ては分かり難いし、面白くないだろう。この能の前に狂言があったが、狂言は顕界を演じるので分かりやすい。
能を見に行くのは日常(ケ)から非日常(ハレ)の世界に遊ぶことである。時々ハレの世界に遊ぶことは誰にでも必要であるようだ。

Noh-Spiel noch mal
Zum zweiten Mal dieses Jahres haben wir Noh-Spiel Theater besucht. Dort ist die Stimmung ganz anders als das alltaegliches Leben.