佐々木合気道研究所 所長筆記

佐々木合気道研究所は合気道の研究成果の発表と著書の紹介を行っている個人の団体です(https://sasaki-aiki.com)。

お能「忠度」 Noh-Spiel

sasaki-aiki2008-07-29

2008.8.27.
半年振りに能を鑑賞した。今回は総勢12名での観能である。合気道関係者は、土曜日一緒に稽古をしている小野氏と谷口氏である。あとの人は、女房の関係者で、出版業界や太極拳関係者だった。
今回は平家琵琶による「平家物語」の語り(「平曲」)というので楽しみにしていた。日本には平家琵琶での平曲ができるひとは数人しかいないということで、貴重な体験だった。もっと琵琶を激しくかき鳴らす薩摩琵琶のようなものかと予想していたら、平家の悲劇を節をつけて語るもので、静かだし、琵琶の音も合間に弾くだけで、これが日本の物の哀れというものかと思った。
その後、お仕舞と狂言「呂蓮(ろれん)」があって、お能「忠度」になった。話は、平家一門の薩摩守・忠度が戦いで末期を覚悟して和歌の師である藤原俊成に、歌をまとめた巻物を託し、やがて明石の浦で討たれる。やがて時移って源氏の世となり、「千載集」編慕の折、忠度の歌「行き暮れて 木の下陰を 宿とせば 花や今宵の 主ならまし」はこの撰に入ったが、朝廷への憚りから「詠み人知らず」と記される。忠度はこれが無念で、この世に亡霊としてとどまることになる。時が流れ、俊成に縁がある僧が回向をはじめると、老人の姿をした忠度が現れ、「実は弔いを頂きたいのは私です」と言い残しては花の陰に身を隠し、若かりし平家の武将として現れ、合戦の様子を語り、霊は消えていく。平家物語という哀れで優雅な文化を偲ぶことができた。

Noh-Spiel
Heike-monogatari bezeichnete viel Tragedien der jungen Rittern vor etwa vor 900 Jahren.