佐々木合気道研究所 所長筆記

佐々木合気道研究所は合気道の研究成果の発表と著書の紹介を行っている個人の団体です(https://sasaki-aiki.com)。

西遊記 Chinesische Abenteuere Geschichte in 10 Baenden

sasaki-aiki2009-03-30

西遊記

女房が入手した岩波文庫10冊からなる「西遊記」を、やっと読破した。
この長編の元になったのは実話で、中国の僧、玄奨三蔵が今のインドである西天(天竺)まで、大乗仏教の経典を中国へ紹介するため取経の旅(629?−645)に出た。そして、16年かけた旅の後に無事に帰国して、原典のお経を漢文に翻訳し、国民に大変尊敬された。それが約千年後に今のような形で小説になったのが、誰でも知っている「西遊記」である。
三蔵法師に、サルの孫悟空、ブタの猪八戒、川の妖怪である沙悟浄がお供をして、ふりかかる災難と戦いながら、天竺からお経を持ち帰るのである。原作者は何人もいるらしいし、さまざまな異本もあるようだ。闘いや、絵のような美しい場面、感極まるところなどは、文章ではなく詩で表現されており、小説全体の1割ぐらいは漢詩かもしれない。人々の前で語って聞かせたりしたので、その方が韻を踏んでいて調子もよかったのだろうが、いかにも中国的である。
西遊記」の主人公は本来なら三蔵法師であるべきなのに、どう見ても孫悟空である。三蔵法師が妖怪や魔物に捕まってはメソメソ泣いたり、越えようとする高い山や大河を見てはぐちったりするのに、孫悟空は、初めは天界を騒がす騒動を起こすなどの大悪だったのが、如意棒、キント雲、変身の術を遣い、また天界の神様仏様や竜宮神、土地神などの力を借りて、悪人や妖怪や魔物をやっつけて、無事に天竺まで連れて行くのである。
また、仏教や道教などの神様仏様も大勢出てくる。それぞれ力を持っているが、序列にうるさかったり、欠点や弱点があったり、取引に応じたりと、人間に近い感じである。エライ仏様に会いたいと思っても、門番や取次ぎの仏様などがたくさんいて、なかなか会うことが難しい。非常に人間臭く書かれている。中国では、神様仏様は自分たちの身近にあるのだろう。
三蔵法師や、猪八戒沙悟浄までが捕まったり、時には孫悟空も捕らえられたりして、最後は孫悟空がなんとかみんなを助け出すと分かっていても、その度に難問が起きて、けっこうハラハラする。昼食のときや就寝前に少しずつ読んでいたので2ヶ月かかったが、最後の10冊目を読み始めたときはこれで終わりかと思い、寂しくなったものだ。さすが世に知られた「西遊記」である。できたらもう一度読んでみよう。

Chinesische Abenteuere Geschichte in 10 Baenden
In 7ten Jahrhundert hat der bekannte chinesische Priester nach Indien die Reise von 16 Jahren gemacht, um die buddhistische Bibelen zu holen. Nach 1000 Jahren ist die 10 baendige Geschichte entstanden, in der der Priest mit allmaechtigen Affe, Schwein und Seegeist nach Indien um die Bibeln abholt. Der Held ist der Affe mit zauberhaften Kraft, und er fuert den Priest nach manchen Note und Proben zum Erfolg.