佐々木合気道研究所 所長筆記

佐々木合気道研究所は合気道の研究成果の発表と著書の紹介を行っている個人の団体です(https://sasaki-aiki.com)。

奥田元宋展 Gensou Okuda Exhibition

2022.5.24  

「奥(おく)田元(だげん)宋(そう)と日展の巨匠 -福田平八郎から東山魁夷へ」展を見てきた。奥田元宋の生誕110周年ということで、奥田元宋の作品がメインであった。奥田元宋については何も知らなかったが、テレビで紹介された彼の絵の赤に興味を持って、是非、作品を直に見てみたいと思ったからである。

会場は広尾にある山種美術館である。恵比寿駅から歩いて20分のところにある。駅からそれほど遠くはないが、陽射しが強く、気温が高く、和服だったので多少汗をかいた。しかし、和服を着ていたお陰で入場料が割引となった。

会場はそれほど広くなく、また、入館者も少なく、見たい作品をじっくり見ることが出来た。特に、今回は奥田元宋の作品、またその内、赤を基調とした作品をじっくり鑑賞することにした。天の浮橋に立ち、幽界の次元で見るようにした。   

             

彼の主な赤の作品は《玄溟》(写真)と《奥入瀬(秋)》であったが、この赤は本当に個性的で、美しく、一度見たら忘れない色である。パンフレットの説明書にはこの奥田元宋の赤を「元宋の赤」と言われているという。私にとっても赤を基調とした絵の代表が奥田元宋で、赤の代表画家となった。因みに、東山魁夷が青、藤田 嗣治は白である。色でその画家がわかるわけだから素晴らしい画家という事になる。この展覧会には東山魁夷の絵が一点あったが、すぐにわかった。

Gensou Okuda Exhibition

I have seen the "Gensou Okuda and the Master of Japan Fine Arts Exhibition" exhibition. I didn't know anything about Gensou Okuda, but I was interested in the red color of his painting that was introduced on TV. And I definitely wanted to see the real thing.

The venue is the Yamatane Museum of Art in Hiroo. It is a 20-minute walk from Ebisu Station. It wasn't too far from the station, but the sunlight was strong, the temperature was high, and I was wearing kimono, so I sweated a little. However, thanks to wearing Japanese clothes, the admission fee was discounted.

The venue was not so large, and there were few visitors, so I was able to take a closer look at the work I wanted to see.

In particular, this time I decided to take a closer look at the works of Gensou Okuda, and among them, the works based on red.

His main red works were "Genrin" (photo) and "Oirase (Autumn)", but this red is really unique, beautiful, and a color that people will never forget once they see it.

「篠田桃紅展」 Toko Shinoda Exhibition

2022.5.17

今日、「篠田桃紅展」に行って来た。会場は新宿から近い初台にある東京オペラシティアートギャラリーである。

篠田桃紅の展示会は以前にも何回か見ている。筆を使っての線や形が人間技とは思えないほど素晴らしいのである。意識しては決して描けないはずなので、無意識の幽界で描いたものと見ている。見える世界から見えない世界、魄から魂へと入る合気道と一緒であると思うのである。

今回の「篠田桃紅展」では、桃紅の長きにわたる活動の全貌が紹介され、初期から晩年に至る約130点の作品と資料が展示されていた。

展示会の絵をどのように見ればいいのかこれまで分からなかったが、今回の展示会で絵を見ている内に、合気道的に見ればいいのではないかと思ったのである。相手と一体化するイクムスビの息づかい・気づかいで見るのである。イーと息・気をちょっと吐き、まず、己と絵とを結ぶ。次に、クーと息・気を引いて己と絵と一体化。ムーで絵に入り込むのである。このイクムスビの息づかい・気づかいで100点ほど見た。更に、この終わりの方に気づいたのが、合気道と同様、天の浮橋に立たなければならないことである。これで見ると、以前より絵に近づくことが出来たようだし、絵の全容も細部、そして作者の心の動きや息づかいが少し感じられるようになったような気がする。これからもどんどん展示会に行って、天の浮橋に立ち、この息・気づかいで作品を見てみたいと思っている。

      

Toko Shinoda Exhibition

I went to "Toko Shinoda Exhibition" today. The venue is the Tokyo Opera City Art Gallery in Hatsudai, near Shinjuku.

In this "Toko Shinoda Exhibition", the whole picture of Toko Shinoda's long-standing activities was introduced, and about 130 works and materials from the early years to the later years were exhibited.

I have seen Toko Shinoda's exhibition several times before. The lines and shapes with her brush are so wonderful that I can't think of it as a human skill.

合気神社例大祭 Aiki Shrine annual festival

2022.4.29

三年ぶりに「合気神社例大祭」が開催された。稽古仲間と三人で参拝してきた。生憎、曇り空で風邪があり、空気が冷たく、一時間の大祭が普段より長く長く感じられたが、つつがなく終了した。大先生と吉祥丸先生をはじめ、お出まし頂いた神様もご満足されていたと拝察した。その証として、当日降る雨は、大祭最後の演武まで持ちこたえてくれたことである。大先生や神様からのご褒美であったと思っている。

大祭が終了して雨が降ってきたし、雨はどんどん激しくなるとの予報だったので、いつもの愛宕山登りはやめて、駅に向かった。駅前の喫茶店に入ろうと思ったが、閉まっているのでそこは諦め、電車に乗り、途中下車してコーヒーを飲んで、冷たい体を温め一息ついた。



The "Aiki Shrine annual festival" was held for the first time in three years. I have been worshiping with my fellow practitioners. Unfortunately, It was in the cloudy sky, the air was cold, and the one-hour festival felt longer than usual. I understand that the gods who came out, including Osensei and  Kisshomaru-sensei, were also satisfied. As a proof of that, the rain that fell on the day held up until the final performance of the festival. I think it was a reward from the great teacher and God.

It was forecast that it would rain and it would be getting heavier, so we gave up climbing Mt. Atago. We thought about going to the coffee shop in front of the station, but it was closed so I gave up and got on the train. But we got off the train, drank coffee, warmed our cold body and took a breather.

休館だった祭の湯に行ってしまった I went to Matsuri no yu which was closed

2022.2.14

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道場がコロナのために休館になったので、久しぶりに温泉にいくことにした。交通の便がよく、行きつけの祭りの湯である。東村山駅から西武線で二回乗り換えた終点の秩父駅に隣接している。昼食は祭の湯でとることにし、昼前に家を出て、1時半に到着。しかし、祭りの湯に行ってみると、入り口は閉まっており、休業の張り紙がしてあったのである。改修工事で一週間休館とある。事前にチェックすればよかったと後悔したが、後の祭り。そこで急きょ近くにある秩父神社にお参りすることにした。秩父神社は関東でも屈指の古社のひとつで、現存するご社殿は、天正20年(1592年)に徳川家康公が寄進されたもので、江戸時代初期の建築様式をよく留めていることなどから、埼玉県の有形文化財に指定されており、天之御中主神をはじめ御四柱の神々をお祀りしているという。すでに何回か来ているが、今回特に行きたいと思ったのは、“つなぎの龍の彫刻”の修復が終わったので見れるようになったからである。つなぎの龍の彫刻は、名工 左甚五郎が社殿彫刻に施したものといわれる。さすが素晴らしい彫刻であった。(写真)

I went to Matsuri no yu which was closed

The dojo was closed due to Corona, so I decided to go to the hot springs for the first time in a while. It is convenient for transportation and is my favorite Matsuri no YU. However, when I went to Matsuri no Yu, the entrance was closed and there was a notice of closure. So I decided to visit the Chichibu Shrine nearby. I've been there several times already, but I especially wanted to go this time because I can see it after the restoration of the "Tsunagi Dragon Sculpture" has been completed. The sculpture of the connecting dragon is said to have been made by the master craftsman Hidari Jingoro on the sculpture of the shrine. It was a wonderful sculpture. (Photo)

暮詣(くれもうで)

2021.12.30

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大宮の氷川神社に暮詣してきた。本来は初詣が一般的だし、その方がいいのだが、初詣は混雑するので暮詣にいている。氷川神社はほぼ毎年参拝しているので、駅からの道もわかっているので気楽だったのだが、駅の出口を間違えてしまった。以前の記憶とは違って、高層ビルが乱立し、バスターミナルがあるのである。初めは、一年経つとこんなに変わるものかと思ったのだが、どうも可笑しいと思ったので、そこにいたお巡りさんに聞いた。駅の反対側の出口に出てしまっていたのである。反対側の出口に出ると見覚えのある街並みがあり、知った道を神社まで行った。参道には二軒出店が出ていた。参道には既に結構な参拝客があったが、神殿の前には予想したほどの参拝客はおらず、直ぐに参拝できた。

今回、大宮に行ったのは、暮詣を理由に遠出をしたいと思ったからだ。コロナの為に自宅待機が多くなり、外に出るのがおっくうになってきたので、偶には遠出をしなければ心と体にカビが生えるのでないかと思ったからだ。もう一つの理由は、体が鈍ってきているので、遠出をして体が持つかどうか、どうなるかを見てみたいと思ったからである。

大分歩いたが問題はなく、無地に帰宅した。

 

村山温泉「かたくりの湯」の摩訶不思議 The mystery of Murayama Onsen "Katakuri no Yu"

久しぶりに温泉に行きたくなり、ネットで近隣の温泉を探すと村山温泉「かたくりの湯」(写真)を見つけた。村山温泉とあるが、私の住んでいる東村山ではなく、武蔵村山である。

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交通機関で行ける。電車、モノレール、バスに乗り換えて2時間ほどの距離である。

禊ぎを終えて、朝食をいつものように済ませ、新聞に目を通し、必要な記事を切り取り、12時に家を出た。東村山駅から二つ先に小平で乗り換え、玉川上水駅で下車、そこからモノレールに乗り、二つ先の終点「上北台」で下車。そこに循環バスが待機しており、それに乗って15分ほどで村山温泉「かたくりの湯」に到着した。

受付で自分の靴を入れた下駄箱の鍵を渡し、ロッカーの鍵を貰い、ロッカールームに行った。そしてここで信じられない事が起こったのである。

ロッカールームにロッカーが約200ほどあった。数人のお客がいたので、空いている処に行こうと歩きながら、ロッカーは何処にしようかと思い、ロッカーを見渡すと、人のいないところのロッカーはすべて鍵がかかっているのである。通常は空いているロッカーには鍵が付いていて、使用しているのには鍵が抜かれているので、まず、これは全て使用されているのかと思ったが、ロッカーが満杯になるほど客がいるようでもないのでこれは違うと考えた。そこで、後で考えると間違いであることがわかるわけだが、自分の持っているこの鍵は好きなロッカーをどれでも開けられるのだろうと思い、取りあえず目の前のロッカーにその鍵を差し込んで鍵を回すと、カチットと開錠してロッカーが開いたのである。そこでこの鍵はどのロッカーも開けることが出来るのだろと思ったわけである。そして確認のために開いたロッカーの一つ上の鍵穴に鍵を差し込んで回したが、鍵は回らずロッカーは開かないのである。そこで自分の鍵を良く見てみると鍵をカバーしているゴムに番号325が印字しているのである。そこで開錠して開いたロッカーの番号を見ると、何と325とあったのである。ロッカールームに入って、なるべく空いているところに行こうとし、そして立っていた目の前が偶然、私のロッカーだったわけである。これは偶然であり、摩訶不思議であり、誰か・何かのいたずらである。私は以前、同じような体験をしたことがあり、お陰で今も生きていられるのである。久々に摩訶不思議な体験をした。

 

The mystery of Murayama Onsen "Katakuri no Yu"

I wanted to go to a hot spring for the first time in a long time, and when I searched for a nearby hot spring on the net, I found Murayama Onsen "Katakuri no Yu". Although it is called Murayama Onsen, it is Musashimurayama, not Higashimurayama where I live.

I got the locker key at the reception and entered the locker room, but a mystery happened here.I had a similar experience before, and thanks to that, I can still live.I had a mysterious experience today for the first time in a while.

特別展「縄文2021 ―東京に生きた縄文人―」Special exhibition "Jomon 2021-Jomon people who lived in Tokyo-"

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2021.11.16

久しぶりに博物館を訪れた。両国の国技館の裏にある江戸東京博物館である。ここで「東京に生きた縄文人」展が開催されている。縄文時代は16,000年前から始まり、約10,000年続いたと云われるが、分からないことだらけであるので、興味津々である。

展示会場は、次の四つのテーマで構成されて展示されていた。1.東京の縄文遺跡発掘史 2.縄文時代の東京を考える 3.縄文人の暮らし 4.考古学の未来。

多くの道具、土器、装身具などを見たが、特に面白かったのが「江戸東京の暮らしを再、現した復元模型」であった。縄文時代のムラの様子が再現され、老若男女20人余が、食べる、狩る、遊ぶ、家族団らん、葬祭などを再現した復元模型(写真)が展示されていた。また、この模型は絵にもなって展示されていた。恐らく、はじめに絵を描いて、それを模型にしたのだろう。勿論、この絵は資料に忠実なものであるはずである。

不思議な事に、この絵(写真の壁にある)を見ていた時、突然、縄文人に親しみを覚えたのである。縄文人と無意識でつながったようなのである。彼ら、特に子供の生きるエネルギーや喜び等を感じたのである。自分がそこに居るような気にもなるのである。

帰り道、これはどういうことなのかを考えてみた。この縄文人との繋がりの感覚は不思議なことでないようである。まず、縄文人と我々現代人はDNA遺伝子でつながっていることである。これは事実である。16,000年前といっても、100歳まで生きた人が160人つながれば、縄文時代と現代はつながるわけである。つまり、お爺さん、お婆さん160世代で繋がっているのである。縄文人の絵を見たことによって、内部に潜んでいたDNAが目覚め、そして縄文人に繋がったのではないかと思った。

何故、そう思ったかというと、同じような事を合気道開祖植芝盛平大先生が体験されておられたと聞いたことがあるからである。うる覚えでしかないが、大先生は、或る時、薙刀花柳界の女性たちに教えて欲しいと頼まれたという。再三断わられたがどうしても断り切れず、何とかしようということになり、弟子に、弁慶と牛若丸の絵本を買わせたという。それをご覧になり、その絵本を枕元においてお休みになった、これでよしとなり、立派に教えられたというのである。想像するに、弁慶の薙刀の絵をご覧になったことで、弁慶の薙刀とつながったのだと考えるのである。

大先生にとって、12世紀頃の弁慶と繋がるのはそう難しくないはずである。高々八百数十年である。大先生は138億年前に出來て運化している宇宙と一体化してつながっているのである。

今回の特別展「縄文2021 ―東京に生きた縄文人―」も勉強になった。

 

Special exhibition "Jomon 2021-Jomon people who lived in Tokyo-"

I visited the museum for the first time in a long time.The Edo-Tokyo Museum behind the Kokugikan in Ryogoku. The "Jomon people who lived in Tokyo" exhibition is being held here.It is said that the Jomon period started 16,000 years ago and lasted about 10,000 years, but it is curious because there are so many things I don't understand.The exhibition hall was composed of the following four themes. 1. History of excavation of Jomon archaeological sites in Tokyo 2. Thinking about Tokyo in the Jomon period 3. Life of Jomon people 4. The future of archeology.I saw many tools, earthenware, and accessories, but the one that was particularly interesting was the "restoration model that recreated the life of Edo-Tokyo." Because I felt like I was connected to the Jomon people.