佐々木合気道研究所 所長筆記

佐々木合気道研究所は合気道の研究成果の発表と著書の紹介を行っている個人の団体です(https://sasaki-aiki.com)。

特別展「出雲と大和」 Special Exhibition "Izumo and Yamato"

2020.2.11

今、東京国立博物館で開催されている特別展「出雲と大和」を見に行って来た。今年は日本書紀成立1300年に当たる年なので、この特別展「出雲と大和」が開催されたという。これまで断片的に出雲と大和の文化や関係を見てきたりはしていたが、今回の特別展でそれらの断片がひとつに繋がり、大変有意義な参観となった。例えば、『日本書紀』冒頭の国譲り神話に、「出雲大社に鎮座するオオクニヌシは「幽」、すなわち人間の能力を超えた世界、いわば神々や祭祀の世界を司るとされています。一方で、天皇は大和の地において「顕」、すなわち目に見える現実世界、政治の世界を司るとされています。つまり、古代において出雲と大和はそれぞれ「幽」と「顕」を象徴する場所として、重要な役割を担っていたのです。」とパンフレットには書かれている。合気道の魂と魄の表裏一体の関係と同じであり、この表裏一体で日本の国は上手く運営されるものと改めて思った。

この目で展示品を見ると面白い。幽の出雲の展示品は、祭祀のためのモノが多く、顕の大和の展示品は武器や武運を祈る仏像、また、権力を誇示するモノがほとんどであったようだ。

また、祭祀の方法の変革もよくわかった。まず、弥生時代は銅鐸など青銅器を用いた祭祀が盛行し、後に出雲では特徴的な形の墳丘墓を舞台とした祭祀へと変化する。次に、四隅突出型墳丘墓(よすみとっしゅつがたふんきゅうぼ)と呼ばれる独特な墳墓がつくられ、そこで祭祀を行った。その後、前方後円墳が大和に出現した。この古墳は政治権力の象徴で、王権の儀礼が繰り広げられた舞台でもあった。そして古墳時代後期に仏教が伝来し、仏教を中心とした国づくりが進められたのである。それ故、祭祀に墳丘墓や前方後円墳が必要なくなってしまったわけである。

2,3年前に出雲に行っているが、また近い内に行きたくなった。

 

Special Exhibition "Izumo and Yamato"

I went to see a special exhibition "Izumo and Yamato" held at the Tokyo National Museum. Since this year is the 1300 year of the Nippon Shoki, this special exhibition "Izumo and Yamato" was held. Until now, I had seen fragmentary cultures and relationships between Izumo and Yamato, but at this special exhibition, those fragments were linked together and made a very meaningful visit. For example, "In ancient times, Izumo and Yamato played important roles as symbolic places of “Yu” and “Ken”, respectively "is written in the brochure. It is interesting to see the exhibits with these eyes. Many of the exhibits in Izumo of "Yu" are for rituals, and most of the exhibits in Yamato of "Ken" are Buddha statues praying for weapons and fortune, and objects that show off power. I went to Izumo a couple of years ago and want to go soon again.

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